小红帽系列【霓虹之声】·【一个人的好天气】·(06)-霓虹之声
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【霓虹之声】·【一个人的好天气】·(06)-霓虹之声
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ひとり日より
青山七恵
ここに来る前は、母と暮らしていた。父と母は私が五歳の時に離婚し、それ以来ずっと母と二人暮らしだ。父親がいないということで、自分をかわいそうに思っていた時もある。不良少女の道も歩みかけたが、どうすればいいのかイマイチわからなくて、よした。自分の不機嫌の理由を親のせいにしようとしても、話がややこしくなるのが面倒で、全てうやむやにしたまま思春期は終わてしまった。
来这儿之前,我和妈妈一起生活。爸爸和妈妈在我五 岁的时候离了婚。从那以后,我一直是跟妈妈两个人过的。我觉得自己没有爸爸,很可怜,一度想当不良少女,可不知道怎么当,只好放弃了。我想把自己的不快乐归咎于父母,又觉得跟他们什么也说不清,怕烦,于是就这样稀里糊涂地度过了青春期。泽北荣治
仕事で福岡に行った父とは、もう二年近くあっていない。向こうから会いに来るなら顔を見せるつもりでいるが、自分からわざわざ訪ねて行こうとは思わない。
母は、私立の高校で国語を教えている。今度中国へ行くことになったのもその関係だ。先生同士で、交換留学みたいなことをやるらしい。
母が中国に行く話は、去年の暮れからあった。高校卒業してからアルバイトを転々としていた私もお誘いを受けた。
我和去福冈工作的爸爸快有两年没见了。要是他来看我,我没意见,可我不打算特意去看他。
妈妈在私立中学教国语,所以这次才会去中国。听说是教师互换留学之类。
妈妈去中国这事儿是去年年底提起来的,连我也受到了邀请。高中毕业后我一直到处打工。
「来たい?」
銀紙をめくっただけの板チョコを歯で割りながら、母は聞いた。
「いや、いい」
「来なさいよ」
「やだよ」
「一人でどうするの」
「東京に行きたい。で、仕事を見つける」
言ったあと、恥ずかしくなってポットのお湯を空のマグカップに注いだ。母は順番逆じゃない、とインスタントコーヒーの瓶を差し出して言葉を続けた。
"你想不想去?"妈妈一边咬着一块刚刚剥掉锡纸的巧克力,一边问我。
"不想。"
"一块儿去吧。"
"才不去呢。"
"你一个人怎么行?"
"我想去东京,找份工作。"
说完,自己又觉得不好意思,将水壶里的开水倒进了马克杯里。
「東京も埼玉も大して変わんないわよ」
「変わるよ」
「ここからだって通えるじゃないの」
「二時間もかけて?小红帽系列無理だね」
「東京なんて、何をいまさら」
「いや、東京に行く」
「お前みたいな世間知らずの田舎者が東京に行ったって、疲れて帰ってくるだけだよ。物価も家賃も高いし」
「さっき変わんないって言ったじゃん。いや、あたしは行くよ、お母さんが中国に行っても行かなくても、今年あたり出ようと思ってたから、ちょうどういい。もう成人だし。あれこれ言われる歳じゃないし」
"顺序反了。"妈妈说着把速溶咖啡递给我,"埼玉和东京差不了多少。"
"差多了。"
"从这儿也能去东京上班呀。"
"花两小时坐车?受不了。"
"怎么现在想要去东京啊?"
"就要去。"
"像你这样什么都不懂的乡下人,就算去了东京,到头来也得筋疲力尽地回来。物价啦、房租啦,可贵了。"
"你刚才不说差不多吗?反正我要去。不管你去不去中国,我都打算年内去东京的玩伴猫耳娘,现在正好。我都成人了,不用你管了。"
ひといきに言い切って、母をじっと見据える。彼女は少し間をおいて、言った。
「なんたって、甘いわね」
何も言い返せないでいると、母は勝ち誇ったようにばりっとチョコレートに噛み付いた。私は何でもないような顔をして、みみの後ろをいじり始めた。
「悪いけど、残るんなら、ほんとに自分で稼ぐか大学に行って。お母さんも出来ることまでしか助けないよ」
「え、なんで大学……」
「それ、条件ね挨饿游戏。大学に行くなら、ちょっとは資金援助してあげる」
我一口气说完,眼睛一眨不眨地盯着妈妈。她沉吟了片刻,开口道:
"你这孩子也太天真了。"
见我没反驳什么,妈妈得意地咔嘣咬了一口巧克力咲夜由爱。我不以为然地挠了挠耳根。
"实话跟你说吧,你去不去东京,关系到你以后靠打工养活自己还是去上大学的问题。我只能尽力而为。"
"什么?干吗上大学……"
"这是条件哪。你要是去上大学c姓男星,我可以资助你一些。"
勉強はしたくなかったので、「じゃあ自分で稼ぐ」ときっぱり告げた。母はしばらく文句を言っていたが、私が黙ったままでいると、「あんたがやる気ならやめないわ」という話になっていた。しまいには、都内に一軒家を持っている人がいるから一応それだけは紹介してあげる、と駅前の不動産屋みたいな顔で言う。こういうのって母親としての愛情なのか、遠まわしの牽制なのか。変なの、と思いながら、私はぬるいコーヒーをすすった。
我不想学习,于是干脆地回答:"那我打工养活自己。"妈妈继续数落了好一会儿螺旋地带,我一直不吭气战天变。妈妈见状,只好说了句"既然你自己愿意这样,我也不拦你"。最后,她对我说:"我认识一个住在东京市内的人,是个独门独院。我只能帮你介绍这个地方了。"她说话的口气完全像个站前的房屋中介。这是做母亲的对孩子的爱呢?还是遥控呢?妈妈自己觉得已经尽力了吧。我思忖着喝了口温吞的咖啡。
「そのおばちゃんね、あたしも若い頃何回かあったきりだけど、金沢の親戚の中じゃちょっと有名で、東京に出てくる娘は、とりあえずみんなその人のとこに世話になるのね」
「何それ。東京の母ってやつ」
「親だって不安じゃない?いきなり大都会に子供を放り出すのって。お金もかかるし。うるさくないし、いいおばちゃんだよ。今はもうお婆ちゃんだろうけど」
「婆さん一人?」
「そう、若い頃旦那さんを亡くしちゃったんだって」
「お母さんは住まなかったの?」
「それがね、お母さんもこっちに来たばっかりの頃、その人の家に行くはずだったから、挨拶はしに行ったけど猫臭いのが嫌でさ佛拉斯。お父さんの家に転がり込んじゃったの」
"那位舅妈,我只是年轻时见过几面,不过,她在金泽的亲戚中还是挺有名的。去东京的女孩们都在她那儿落脚呢。"
"怎么着媒介匣,这算东京的妈妈?"
"做父母的担心哪。这么突然一下子把孩子撒到大城市去,而且又费钱。舅妈人很好,不爱唠叨。现在该叫她舅姥姥了。"
"舅姥姥一个人住?"
"是啊。听说年轻时就死了丈夫。"
"妈妈没去住过?"
"说起来,妈妈刚来这边的时候,是打算去她家的。我去看她时,嫌她家猫味儿太大,就住你爸家去了。"
「猫臭いの、その家?」
「あの時、あたしが行くのちょっと楽しみにしてる感じだったんだよねえ。おばちゃんも一人じゃさみしいだろうしさ、ちょうどういいじゃない。連絡するだけしてみるわ」
「そんな、いきなり迷惑じゃん」
「だめもとよ。親戚だし、年賀状も出してるし。去年はせんべいも贈ったし。覚えてない?名古屋の叔父さんがいかせんべい山ほどを送ってきたじゃない、あの時おすそ分けしたの、おばちゃんに」
"她家猫味儿大?嘿。"
"感觉那时候她挺盼着我去住的呢。舅妈一个人也挺寂寞的,不是正合适吗。我先跟她联系一下。"
"这么突然去,行吗动量矩定理?"
"试试看吧。再说又是亲戚,我每年都给她寄贺年片。去年还给她寄过薄脆饼呢。你记不记得,名古屋的叔叔给我们寄来过一大包墨鱼薄脆饼?那次给她寄过一些。"
母は立ち上がって、住所録を探しに行った。テレビ欄を見ようと彼女の手元にあった新聞を引っ張ったら、こぼしたチョコのかけらがテーブルの上に散らばった濠江风云国语。母が座っていた椅子の方にささっと手で払った。
妈妈起身去找电话本。我把刚才妈妈手边的报纸抻过来,想要看看电视节目栏,却把掉在上面的巧克力渣撒在桌子上,于是赶紧用手抹到妈妈坐的椅子上。
次の日、バイトが終わって携帯をチェックすると母からメールが来ていた。「おばちゃん、住んでいいって」とあったので、「じゃあ住む」と返した。東京でアパート借りるのには、何十万円も必要だということをきいていたし、大家さんとかガスと水道の手続きとかいろいろ面倒くさいだろううな、と思ったのだ。母は母で、自分がすっぽかした同居の約束を娘に託すことで、忘れかけていた罪悪感を清算したかったのかもしれない。
第二天,打完工查看手机,就看到妈妈来了短信:"舅妈说,可以来住。"我回复:"那就去住。"我知道在东京租公寓得几十万,还要跟房东打交道,交煤气费、水费,麻烦得很。当然,妈妈这么做也有妈妈自己的想法,也许是想由女儿来继续履行自己当年背弃的同住约定,清算快要忘却的罪恶感吧。
そのおばちゃんというのは母方の祖母の弟の奥さんで、歳は七十過ぎているという。私の何にあたるのかはよくわからなかった。
母は彼女のことをおばちゃんと呼び続けたので、私が吟子さんという名前を知ったのは、もっと後になってからだった。 这位舅妈是姥姥的弟媳妇黄素宁,据说七十多岁了。我搞不清楚她是我的什么人。
因为妈妈一直叫她舅妈,我是到后来才知道她叫吟子的。
朗读:一个泥
翻译:来自网络